第67話:在庫に依存していませんか?

「ワカイさん、うちは在庫が多くて何とか減らしたいのですが、なかなかうまくいかなくて・・・・」

 

という社長さんの相談をよく受けます。

 

在庫は外部から集めてお金が一時的に部品や仕掛品や製品にかたちを変えているものです。

 

未来永劫在庫のままではお金が寝てしまい、稼ぎにつながりません。

 

下手をすれば売れ残って値下げロスや廃棄ロスにつながります。

 

社長としてはなんとか在庫を減らしたいです。

 

さて、生産現場も社長と同じ想いで、できるだけ在庫を少なくしようとしているでしょうか?

 

 

多くの生産現場は社長の想いとは別にできるだけ在庫を抱えようと習慣化しています。

 

生産現場からすれば、実は在庫が多いとホッとします。

 

仕掛品がたくさんあれば、作業者や設備は「仕事がない!」と空くことがありません。

 

効率をアップするためにできるだけ同じものを集めて作業することもできます。

 

また、生産管理や購買の管理部門も在庫が多いとホッとします。

 

材料や部品在庫が十分にあれば、お客さんの注文にすぐに応えることができます。

 

仕掛品が山のようにあれば、お客さんからの納期変更にも柔軟に対応できます。

 

ところが、在庫が少なく、または、ほとんどなくなると

 

やるべき仕事がなく作業者や設備が空いてしまう心配が出てきます(注文がなければ作業者や設備が遊んでしまうのは当たり前なのですが・・・・)

 

仕掛品のなかに同じ作業が少なくなり、頻繁に段取り替えをしなければなりません(注文が異なれば段取替えが発生するのは当たり前なのですが・・・・)

 

材料や部品在庫が少なくなれば、欠品しないように常に気を配らなければなりません(それが仕事なのですが・・・・)

 

どこの工場の生産現場も管理部門も、在庫がふんだんにあることに慣れきって、在庫依存症になっているのです。

 

アルコール依存、薬物依存などの依存症は、それから脱するに並大抵でない努力が必要なように

 

在庫依存症を断ち切るのにも並大抵ではない努力が必要です。

 

在庫依存を脱するためには、社長が工場の各部門に「在庫を減らせ!」と指示するだけではうまくいきません

 

在庫があって当たり前の今までの考え方、やり方を大きく方向転換する必要があり、工場のものづくりのしくみ全体にメスを入れなければなりません。

 

そのためには、社長のトップダウンで工場の全部門を巻き込んでカイゼンを進めなければなりません。

 

社長の会社は在庫依存症になっていませんか?