第25話:自社と違う工場から学ぶ

自社のカイゼンに参考になるものはないかと、他社工場へ見学に出かけることがあると思います。なかには次から次へと何社も見学をする人もいます。しかし、そんな人に限って

 

「たいへん興味を持って見ることができました。でも・・・・わが社と違うからちょっと参考にならないですね」

 

と言ったりします。

 

また、口に出さなくとも心の中で「わが社と違うからちょっと参考にならない」と思っている人も結構いるのではないでしょうか。

 

製造業と流通業の違い、製造業であっても加工と組み立ての違い、組み立てであっても個別受注と量産品、個別受注であっても大きなものと小さなもの、と違いを探せば、次から次へと違いが出てきます

 

自社の製品とほぼ同じもの、となると競合他社の製品しかありません。

 

競合他社を見ることができればいいですが、競合他社に自社の工場を見せるところはほとんどありません。

 

しかしなかには、競合他社に対して「日々カイゼンしているので今の工場を見てもらっても構いません。わが社は日々カイゼンしているので、皆さま方が今日見聞きしたことを自社に戻ってマネしていただいても、それができあがる頃にはうちはさらに進歩していますので」

と堂々と言われる会社もあります(こうありたいですね)

 

自社と同じでなければ参考にならないという考えでは、工場見学を繰り返してもなにも得ることはできません。

 

自社と違う工場から学ぶことは難しいのでしょうか?

 

部品加工工場の人が治工具の段取り替え時間短縮のカイゼンに取り組んでいるなか、組み立て工場に工場見学にでかけても、なにも得るものがない。

 

いや、決してそんなことはありません。

 

組み立てラインでの段取り替えは、組み立て部品の切り替えです。組み立てる製品が変われば、使用する部品も変わります。組み立てる製品を切り換えるたびに、時間をかけて部品を切り換えなければなりません。

ところで組み立てでは部品加工より小ロット生産や一個流し生産が進んでいます。部品の切り替えにどんな工夫をしているか、そんな視点で工場見学をすれば学ぶべきところは多々あるはずです。

 

工場見学では情報を仕入れるだけでなく、見聞きしたものを自社の製品やものづくりに変換して考える癖をつけなければなりません。

 

 

最近はフレンチなど洋食で和食の素材を活用したり、料理法を採り入れる動きがあるそうです。

 

積極的に取り入れようとしているシェフの店は、将来はきっと多くのお客様を得ているのではないでしょうか。

 

自社と違うで工場であっても何かを学ぼう、どんな小さなことでも得たもの自社のカイゼンにつなげていこうとしていれば、将来は大きな成果を得られるはずです。

 

工場見学では、表面的なところだけでなく、そのカイゼンの狙いや本質をぜひ見抜いて、ぜひ自社のカイゼンに応用しようという考えで臨んでみてください。