第36話:理想の工場

理想の工場はどんな工場でしょうか?

 

最新の設備を完備して、工場全体をコンピューターで管理された工場でしょうか?

 

わたしが大学を卒業して入社したメーカーは、まさにそんな工場を描いていました。

それから30年、当時描かれた工場は実現されたでしょうか?

 

もし、毎年最新の設備を購入していたら、毎年多額の設備投資と減価償却費を回収しなければなりません。

そのために設備稼働率を上げるために、まとめてつくったり、売れた以上につくったりして製品在庫を積み上げてしまうかもしれません。

 

コンピューターで管理が必要な工場は、きっと投入してから完成まで数週間から数ヵ月かかるために、いまどこまで進んでいるか、どこに滞留しているか、しっかり管理する必要があるからでしょう

 

そんな工場は理想の工場でしょうか?

 

理想の工場は、最新の設備も必要に応じ導入するが長年使いこんだ設備も活用する。

売れた分だけ短納期、高品質でつくって売上に貢献する。

投入から完成まで数時間でつくってしまい、わざわざコンピューター管理する必要なし。

ムダなコストをかけずにつくって、しっかり利益を稼ぐ。

 

そんな工場が理想の工場ではないでしょうか?

 

「そんな工場は夢物語だ」

 

と思われる方もいるでしょう。実はわたしもそう思っていました、理想は理想、現実は現実と。

 

しかし、決して夢ではありません。

 

コンピューターシステムのように、投資をして外部パワーを活用すれば導入できるものではありません。

トップが経営目標を示し、自社のものづくりがどうあるべきかを提示し、トップから従業員まで全社一丸となってしくみをカイゼンして行かなければなりません。

従業員のがんばりも必要です。しかし、それ以上にトップが理想の姿を描きあきらめず執拗に追いかける、そんなトップがいれば必ず実現できます。

 

一年の始まりの今、社長の工場の理想を描いてみませんか