第40話:製造現場に個性は必要か

個性は大事ですが、ものづくり現場の個性は注意が必要です。

 

たとえば1人完結のセル生産は、一人が一台の製品を最初から最後まで一人でつくるので、

作業者の個性が入りやすいです。

 

誰でもやらされるより、自ら考えてやる方がいいです。

わたしもそう思います。

 

しかし、ものづくり現場で作業者ひとり一人がバラバラのやり方をしていたら

どうでしょうか。

 

 

同じ製品の組み立てであっても、作業者任せにしてしまえば、作業者によって作業手順は違ってきますし、一つひとつの作業の動作も違ってきます。

 

作業手順や動作が違っても、組み立てにかかる時間が同じであればいいのですが、そうもいきません。

 

10分で組み立てる作業者もいれば、20分、30分と作業手順や動作の違いでかかる時間は変わります。

 

作業時間が違えば、一日にできる一人あたりの生産台数が変わってきます。それは最終的には製造コスト、利益に影響します。

 

そうなると一番早く組み立てられる作業者の手順や動作を標準作業にして他の作業者にも同じようにさせるべきです。

 

これはコストだけの問題ではありません。品質面でも影響します。

 

作業者によって不良の出具合が違うことがありますが、その原因の一つは作業手順や動作が違うから。

 

一番早くできて、一番品質がいい組み立てをする作業者の作業手順を標準作業として、みんなが同じやり方でやることが必要です。

 

それでも、不良は起きることはあります。

 

そのときは、原因を究明し対策を打つ。そして、それを全作業者に展開する。

 

展開する時に、作業者の作業が標準化されていれば展開しやすいです。

 

しかし、作業者によってやり方が違うと、今回起きた不良が一人ひとりの作業のやり方にも関係するか検証していかなければなりませんが、そんなところまで手が回りません。

 

結果的にいつまで経っても品質が向上しないなんてことになります。

 

では製造現場に個性は必要ないのか?

 

 

いいえ、わたしは、個性は必要だと思います。個性の使い方です。

 

製造現場は個々に個性を発揮するのではなく、

他社にない個性的な工場を作り上げるために各自の個性を発揮して、

個性的な自社の標準のしくみをつくればいいのです。

 

社長の工場はいかがですか?

 

バラバラですか、個性的ですか?