第72話:現場のなかはムダだらけ

「ワカイさん、うちの現場はどのくらいムダがあるんですか?」

 

先日こんな質問を受けました。

 

みなさんの現場はどのくらいムダがあるのでしょう?

 

いろいろな見方はありますが、材料や部品を購入して製品としてできあがり出荷されるまでの時間で考えると、本当に価値ある仕事をしている時間はどのくらいでしょう?

 

ア 10%以下

イ 50%

ウ 90%以上

 

ムダがどんなにあっても50%はないだろうと思ってませんか?

 

しかし、ほとんどの現場は90%以上がムダな時間です。価値ある仕事をしている時間は全体の10%以下です。

 

材料が現場で切断、曲げ、溶接、塗装などの加工がおこなわれている時間はホンのわずかです。

 

外部から購入した部品と一緒にまさに組み立てている時間もホンのわずかです

 

なぜ、こんなにムダな時間があるのでしょう?

 

作業者の作業のやり方はまずいのでしょうか?

 

仕入先から購入した材料や部品と一緒に現場を旅するとよく分かります。

 

仕入先から入荷された材料や部品の大半は直ぐに現場に払い出されません。

 

まず、じっくり倉庫で過ごします。

 

ようやく倉庫から現場へ払い出されても加工や組み立ての順番はなかなかやってきません。

 

やっと自分の順番が回ってきても、次から次へと急ぎの注文の特急オーダーが追い越して行き、結果的に自分の順番が来るまで数日が経ってしまっていることもあります。

 

そして製品として完成しても出荷されるまでしばらく製品倉庫で寝ています。

 

運が悪いとお客様から永遠にお呼びがかからず、ホコリをかぶって忘れられてしまいます。

 

ホコリをかぶって忘れられてしまっては、材料や部品を買ったお金、製造に掛かったお金が丸っきりムダになってしまいます。

 

大きな、大きなムダです。

 

たとえ出荷されても、製品完成に至るまで長い時間をかけて現場を旅してきた製品はムダに時間を過ごし、それだけでなく現場に余計な仕事を発生させて、ムダなコストが発生しています。

 

こう考えるとみなさんの現場はちょっとカイゼンしたくらいでは、まだまだムダが眠っているのです。

 

このムダな時間を無くしていけばコストが下がり、利益が増えます。

 

みなさんの現場はまさに宝の山に囲まれているのです。

 

ただし、この宝はジッとしていても自ら出てくることはありません。

 

さあ、まずは社長も現場の宝を見に行きませんか?