第114話 改善は人よりものに着目する
「ムダどりでひとり一人の生産性がアップしたのはいいのですが、現場の従業員が余裕なくバタバタと動き回っているんです」
もし社長の現場がそんな状況になっていたらいくら生産性が上がっていても要注意です。
それは作業者の無駄な動作を無くしていったので、動きが速くなってバタバタしているだけです、と言われるかもしれません。
でも果たしてそうでしょうか?
実はカイゼンは人に着目する以上に、ものに着目すべきです。
ものって何?
ものとは工場に滞留している、材料・部品在庫、仕掛品在庫、製品在庫です。
工場のものづくりはひとり一人のがんばりだけではうまくいきません。
作業者同士、部門同士がうまく連携して、工場のものづくりのしくみがうまく回らなければなりません。
しくみがうまく回っているか、いないかを見るには、もの(在庫)に着目するのが一番です。
倉庫に部品や製品が山積みになっている。
現場に足を運べば仕掛品在庫が通路まで溢れている。
もし、現場がそんな状況のときはものづくりのしくみがうまく回っていません。
いくら個人の動きに着目しても、ものが溢れている倉庫や現場で働いていては、生産性は悪くなりますし、不動在庫になってしまうと最後はロスが発生してしまいます。
もの(在庫)は人間でいうところの脂肪です。
どんなに筋トレをしても、腹囲がでっぷり、体脂肪率30%では健康とは言えません。
筋トレのみならず、有酸素運動、バランスの取れた食事と、体のしくみを考えてダイエットをしなければなりません。
工場のカイゼンもものづくりのしくみ全体で取り組むべきです。
そのときに着目するのはもの(在庫)です。
社長の工場も人に着目する前に、自社のもの(在庫)の実態に着目してカイゼンしてみませんか?
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