第23話:社長は従業員に何を語りかけていますか?

昨日は弊社で主催している研究会メンバと一緒に、ある会社の工場見学をしてきました。

年商約10億円、従業員約50名の工場でカイゼン専従メンバを置くこともできませんが、この5年間カイゼン活動で、在庫半減、リードタイム短縮、赤字体質から黒字体質へと大きく成果を上げてきました。

 

大きな成果を達成した裏側には、社長がこの5年間あるスローガンを掲げて繰り返し語りかけてきたことがあります。

 

・「あなたは、何を達成しましたか?」

 

・「あなたは、何を変えましたか?」

 

あなたは、どちらだと思いますか?

 

在庫半減、リードタイム短縮、赤字体質から黒字体質へ、と大きな成果を達成したとなると、目標を立てて、各部門が実行計画に落とし込んで、日々カイゼンを進める、そしてトップはプラン(PLAN)・ドゥ(DO)・シー(SEE)のサイクルをきっちり回して、その達成具合をしっかりチェックしたに違いない、だから

 

「あなたは、何を達成しましたか?」

 

と社長が定期的に従業員に問いかけていると思われる方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、この工場では社長が問いかけるのは

 

・「今日は昨日と何を変えましたか?」

 

です。問題点や課題を見つけたら、結果を出すには、成果を達成するためには、どうしたらいいか考えるけど完全を目指すのでなく、まずは今より少しでも良くしてみよう、変えてみようと、それを日々続けていこうと語りかけています。

 

誰でも成果を出そうとすると、うまくいくためにはどうしたらいいか、失敗しないためにはどうしたらいいかと考えてしまい、なかなか行動に移りません。

遅れるだけならいいですが、失敗するリスクを考えると、結局何も行動を起こさずに終わってしまうということも結構あるのではないでしょうか?

 

 

また、社長は従業員に何を変えるかは直接言いません。

従業員が自ら感じた問題点や課題に対して自主的に行動を起こすことを求めます。

そして社長は、従業員の行動を気づく、ほめる

そうすると、アクションを起こした従業員はさらに良くしようと変える。

 

日々変えていくなかで、結果がよくないこともあります。

そんなときは、うまくいかなかった結果はともかく、変えてみた行動をほめる

そして、すぐにうまくいくように再度変えてみようと語りかけています

それを5年間続けるなかで、大きな成果を生み出してきました。

 

もちろん、従業員の自主性だけで成果が表れた訳ではありません。

社長は自社の方向性、あるべき姿の考えを事あるごとに従業員に示しています。

 

その考えが浸透し、従業員の日々変えていこうという行動とリンクしたとき、カイゼンは力強く、大きく進んでいくのです。

 

あなたは、従業員に何を語りかけていますか?