第34話:入口から出口まで何km?
「うちの製品は品質が安定しなくて・・・・」
そんな悩みの持っている社長は自社の扱っている製品がどれだけの距離を旅しているか見てみることです。
えっ、製品が旅をする???
もちろん製品が歩いたり、車で移動したり、電車に乗ったりするわけではありません。
御社の工場で材料が工場に入荷されてから、製品として完成しお客さんに出荷されるまでどれだけの距離を移動するか
御社の倉庫に商品が入荷されてから、お客さんに出荷されるまでどれだけの距離を移動するか
ある社長の工場は、幅30m、奥行き50mの大きさ。材料はどれだけの距離を移動して製品になるか調べてみました。結果はなんと
301km
なぜ、そんなに移動していたかというと、購入した材料を100km離れたところにある協力会社にメッキをお願いしていたのです。
さらに50kmほど離れたところにある協力会社に、塗装された部品と他の部品を支給してサブ組み立ても依頼していたのです。
メッキ工場に往復200km、サブ組み立て工場に往復100km、合計で300km工場を離れて移動していたのです。
残り1kmは自社工場の移動。
幅30m、奥行き50mの工場内をあっちにいったりこっちにいったり、1kmというのも信じられない距離です。
おまけに工場内の、ものの動きは定まらず、どこに置くか、誰がどのような経路で運ぶか、など工場内の動き(動線)は作業者任せでした。
そうなると
不安定な置き場において倒れないか、倒れてキズがつかないか・・・・
協力会社からさらに孫請け会社に外注に出され、電子部品の静電対応がしっかり守られているか・・・・
移動距離が長くなり、ものを取り扱う人が増えるが、みんな大切に取り扱っているか・・・・
心配事が次々と出てきます。
トラックで延べ300kmも移動していたら、部品や製品の荷扱いによっては品質の問題が起きる可能性は大きくなります。
それに比べれば工場内の動きは小さいですが一つひとつのものの動きは定まらず、品質上の問題が起きても、どんな状況で問題が起きたか限定できませんし、原因究明もできません。
品質上の課題を抱えている工場や倉庫は、個別の対応策とともに自社のしくみを見直すために、ものがどんな旅をしているか調べてみることです。
そのうえで、しくみカイゼンに取り組みましょう。