第35話:計画だけで終わらせない
弊社では、カイゼンを進めるとき、設計図と工程表をつくることを勧めています。
それに対して、机上であれこれ考えていても何も進まないので、まずは手足を動かすべきだという考えもあります。
確かにそれも一理あります。
会議室で、どうしようこうしようと悶々と考え込んでいても始まりません。
「やってみてから考えよう!!」
と、まずは行動から起こすところもあると思います。
みなさんの会社はいかがですか?
まずは行動からということになると、ついつい取り組みやすい5S、ムダどりから手を付けがちです。
しかし、「やってみてから考えよう!!」でカイゼンだけでは満足できる成果、経営数字につながる成果は厳しいです。
また、始めたはいいけどカイゼンの方向性が誤っていてはムダなカイゼンになりかねません。
そんなこともありカイゼンを始める前に、設計図と共に工程表をつくることを勧めていますが、逆に工程表をつくるときはいくつか注意すべきことがあります。
とある会社が工程表をつくったとき、カイゼン項目に「●●工程の生産リードタイムを短くする」と書いてあり、期間は2ヶ月になっていました。
たしかに該当する工程のリードタイム短縮はとても1、2日では達成できません。取り組んで成果が出てくるまで1~2か月の期間がかかりそうでした。となると
・いったいリードタイム短縮をどのような方法で進めるのか見えない(いくつかのやり方があるが、どのようなやり方で進めるのか見えない)
・ひょっとしてリードタイム短縮をテーマに挙げたが、どのようにやったらいいか見えていないのでは(自分たちのカイゼンとして落とし込めていないのでは)
・カイゼンをスタートしても日々どこまで進んでいるのか、予定通り進んでいるのか否か見えてこない(進捗具合をフォローしようにも、フォローできない)
これでは計画は立てたが、実行につながらず計画倒れになりかねません。
これは別にカイゼンに限ったことではないです。日々の仕事も同じです。
日々の仕事でPDCAのサイクル(PLAN:計画、DO:実施、CHECK:チェック、ACTION:アクション)を回せていないところはカイゼンであっても実践できません。
また、一方で日単位の細かい計画を立てたが、実行するうえでの体制づくり、部門間の協力体制、実行するうえでの課題の洗い出しができていそうもなく、結果的に常にカイゼン計画が遅れがちでしょっちゅう計画を見直しているところもあります。
線表はしょっちゅう赤入れするが、現場のカイゼンはほとんど手つかずで挫折してしまうところもあります。
計画をつくって進めるのは大事ですが、あくまでも行動を起こしてカイゼンを進めることが主体です。行動を起こしやすい計画づくり、かつ計画づくりが目的にならないように心掛けなければなりません。
社長の会社も、今年のカイゼン計画を立てて、一歩一歩着実に進めてください。
そして一年後に経営数字の果実を得ましょう。