第70話:力業で5Sを維持する会社としくみで5Sを達成する会社の違い
「ワカイさん、うちの会社、なかなか5Sが根付かなくて・・・・」
そんな相談をよくお受けします。
コンサルティングや個別相談で、初めて行く工場で
・ 5Sがきっちりできているか
チェックします。
しかし、5Sがしっかりできている会社でも注意しなければなりません。
力業で5Sを維持している会社もあるのです。
「明日土曜日の午後、お客さんが来るから部屋を片付けて!!」
と奥さんに言われて、土曜日の午前中に机の上や床の上に散らばっているものを、寝室に持っていったり、押し入れに押し込んだりで、てんてこ舞い。
そしてお客さんが帰るとまた部屋は元通り。
お読みになっている社長のご自宅、ひょっとして、そんなことを繰り返してませんか?
工場の現場も同じ。
「明日コンサルタントの先生がやってくる」「来週は5S委員の巡回日だ」となると、慌てて整理、整頓、清掃をやり始める
これではなんのための5Sか分かりません、5Sが目的になってしまっています。
これでは5Sは根付くどころの話ではありません。
また、5Sのなかで一番難しいのは整理。
カイゼンを始めるときに、最初に行うのが整理です。
要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てるのが整理。
多くの職場は、要らないもので溢れかえっています。
仕事に必要な要るものは、要らないものと一緒になって職場に置かれているので
探すのも一苦労、見つけても奥の方にあれば取り出すだけでも一仕事です。
カイゼンを始めると、そんな職場に溢れかえっている要らないものを、整理で一気に捨て去ってしまいますが、
1ヶ月2ヶ月と経つと、また知らぬうちに職場は要らないものが侵食してきます。
そうなるとまた整理をして要らないものを捨てる
そんなことを繰り返し行わなければなりません。
明日5S巡回があるといって慌てて5Sをやったり、繰り返し整理をして要らないものを捨てる。これはいわば力業。
そんな5S活動では現場はきれいになっても、なかなか儲けにつながりません。
いったいどうしたらいいか?
カイゼンを始めるにあたって、整理で要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てる。そして必要なものをすぐに取り出せるように整頓する。そして毎日清掃をする。
それを毎日繰り返して5Sを維持するだけではなく、工場のものづくりのしくみをカイゼンしていくことが必要なのです。
要らないものはつくらない、要らないものは運ばない、要らないものは買わない
それが実現するものづくりのしくみをカイゼンで作り上げるのです。
それができれば、5Sを維持するのではなく
しくみをカイゼンすることで知らぬうちに5Sは達成されるのです。
倉庫に材料は溢れかえらずに、現場に仕掛品も今日明日出荷するものしかない、製品倉庫には売れ筋商品が適正在庫置かれている。
5Sは維持するものではなく、しくみをカイゼンすることで達成されるものなのです。
社長の会社の5Sは力業で維持していますか?それともしくみで達成されていますか?