第71話:先入れ先出しの難しさ
「ワカイさん、現場には前に買った材料から使うように言っているんだけど、なかなかうまくいかないもんだね。いったいどうしたらうまくいくのかね」
というご相談を受けることがあります。
前に買った材料から使うことを、先入れ先出しと言います。
先に買ったものから、先に使う、当たり前ですがなかなかできません。
その先入れ先出しができていないと
昔に買ったものが残ってしまい、錆や劣化などで廃棄になってしまう
消費期限の切れた古い材料や部品を使ってしまい、品質の問題が発生してしまう
など、コスト面、品質面でリスクを抱えることになります。
そのため、現場では先入れ先出しを徹底するために、次のようなアクションを取ります。
①ものの置き方、取り出し方にルールを決めて古い物から使うようにする
たとえば、横に並んで置かれているものであれば必ず左から古い順に置き、左から取るなど
でも、こういったルールはついつい破ってしまいます。
左から順番に使うと言っても、急いでいるとき誤って右側から取ってしまう、なんて具合にです。
また、新しく入ったものは右側に置かなければならいないけど、場所が空いている左側に置いてしまうとか
そこで次のような手を打っているところもあります。
②置き場所を工夫して、強制的に古い物から使うようにする
身近な例ではコンビニの飲料の棚があります。
一番手前の缶やボトルを取り出すと空いたスペースに奥から缶やボトルが移動してくるので奥に置いた新しいものが取れない。
棚板に傾斜があり棚板面も滑りやすい形状になっているからです。
ここまでやれば完璧。
と思いきや落とし穴があります。
棚に置ききれないくらい在庫があったらどうなるでしょうか?
置ききれない在庫は、傾斜の付いた棚板の棚に置けずに別の場所に仮置きするしかない。
そして棚が空いたら移動させよう・・・・
なんて思っていても忙しさに追われ移動することをすっかり忘れてしまいます。
すると別の場所に仮置きしたものは放置され、
気づいたときには時すでに遅し、古くなって捨てなければならない!
なんてことになり兼ねません。
ルール決め、環境整備だけではなく、ものづくりの仕方まで変えないと、先入れ先出しは徹底できません。
とはいえ、いきなり完璧なレベルには到達できません。
①ルールづくり
②置き場づくり
③量のコントロール
①②③と順に先入れ先出しができる環境を整えていくしかありません。
社長の会社の現場の先入れ先出しはどこまでできていますか?