第74話:経歴はいらないが、知識は必要だ

「ワカイさんはどんな経歴ですか?」

 

社長としては依頼するコンサルがどんな経歴か気になるところです。

たしかに経歴は気になりますが、経歴だけで判断していいでしょうか?

 

自動車のホンダの創業者、本田宗一郎さんは学問よりは腕に技術をと、15歳のとき東京の修理工場に弟子入りし、21歳で独立、地元浜松に修理工場を立ち上げました。

 

腕の良さが評判になり事業は大成功。学歴なしでの成功です。しかし、物づくりへの想いと製造業の未来を見据え、自動車部品製造に乗り出しました。

 

しかし、いくら腕がいいと言っても、製品開発はなかなかうまくいきません。

 

地元の工業専門学校に教えを乞うと、自分に鋳物の基礎知識がないことが決定的な問題だと分かりました。

 

そこで、本田さんは経営のかたわら工業専門学校の聴講生として一から金属工学を3年間学び、製品開発を成し遂げました。

 

そんな本田さんを通して「学歴はいらないが、学問は必要だ」と言われています。

 

 

さて、現場カイゼンはどうでしょうか?

 

現場カイゼンで有名な会社はいくつもあります。

そんな会社で経験を積んできた方であれば、自社のカイゼンを任せてもいいと思いがちです。

しかし、その会社にいたからといって大丈夫かどうかはまた別です。

 

よくあるのは、「5S」、「ムダどり」と手段を言うだけで終わってしまうコンサルタント。

「5S」、「ムダどり」を闇雲にやってもカイゼンの効果はなかなか出てきません。

 

なかにはきらびやかな経歴を持ってはいるが、現場には自分たちで問題を洗い出させて、自分たちで解決させているだけのコンサルタントもいるそうです。

 

どうやったら生産性が上がり、それがコスト低減につながるか。

 

リードタイム短縮と在庫削減、コスト削減をどう進めていけば両立するか。

 

 

そこには、効果的なやり方、進め方があります。

コンサルタントはそれを分かりやすくクライアントに説明できる知識がなければいけないと私は考えます。

 

「学歴はいらないが、学問は必要だ」ではありませんが

 

「経歴はいらないが、知識は必要だ」だと思います。

 

コンサルタントにお願いするときは、その方の経歴だけでなく、納得できるカイゼン知識を持っているかよくよく話してみることです。

 

社長の会社のコンサルタントは「5S」、「ムダどり」を連呼していませんか?