第78話:サービス業のしくみカイゼンのやり方
「ワカイさん、しくみカイゼンはサービス業でもできるんですか?」
前回、小売・卸売業でも ものを扱うのでしくみカイゼンの適用は可能とこのコラムで書いたところ、サービス業の場合はどうなの?と質問を受けました。
もちろん、しくみカイゼンはものを扱わなくても可能です。
(とは言ってもサービス業でもいろいろなものを扱いますが、美容院のシャンプー、病院の薬、宿泊施設の食材など)
では、サービス業でのしくみカイゼンのポイントは何か?
お客様にサービスを提供するとき、一人でおこなうこともありますが、多くは複数人でおこないます。
美容院であれば、洗髪する人、カットする人、ブローする人
病院であれば、受付事務員、医者、看護師、薬剤師、会計事務員
宿泊施設であれば、女将さん、仲居さん、料理人、従業員
カイゼンというと、各々が自分の持ち場の仕事を効率的におこなえるように取り組みます。
今まで10分かかっていた仕事を9分、8分と短くできるようになれば、10人でやっていた職場が9人でできるかもしれません。
そこで、陥ってしまいがちなのが個々のカイゼンで効率的になっても、全体の成果につながらない、いや逆に全体で考えると効率が落ちてしまうことです。
それよりも、個々の作業だけでなく次の人の作業を考えて、自分は時間がかかっても次の人のために余分な作業をする考えが必要です。
たとえば病院、今ではもう当たり前ですが
初めて訪れた病院では、受付のときどんな症状なのか、過去どんな病気になったかなど細かな情報を、事前に質問用紙を渡され記入させられます。
昔の病院であれば、受付は受付だけ、病気に関しては全て医者が確認していました。
受付にかかる手間は増えますが、医者は事前に患者の情報を入手することで、スムーズに診察、診療は進みます。
しくみカイゼンはサービス業であれば、お客さんが訪れてサービスを受けて帰るまでの流れで、美容院や病院、宿泊施設などが、各部門そして各担当者がどう連携して、サービスを提供するか、全体を通して考えてカイゼンしていきます。
これは、製造業でも小売・卸売業でも当てはまります。ものの流れだけでなく、各部門そして各担当者がどう連携して仕事をしたらいいかという視点で取り組むのです。
さあ、御社もものの流れに加えて、仕事の流れについて、しくみカイゼンに取り組んでみませんか。