第88話:社内でやるか、社外に任せるか

「ワカイさん、トイレ掃除は外部業者に任せようと思うのですが・・・・」

 

トイレ掃除を喜んでやる人はなかなかいません。

 

一方でトイレ掃除は難しい仕事ではありません。

 

きっちりやればトイレはきれいになります。

 

しかし、トイレ掃除といえども時間はかかりますし、社員がやったとしてコスト計算すると結構いい値段になります。

 

1時間数千円の単金になる社員がトイレ掃除をするのはもったいないから、トイレ掃除はそれを専門とする外部業者に任せてしまえ

 

単価計算上は、社員がやっていたために数千円/時間だったトイレ掃除に掛かるコストが、1千円/時間となれば魅力的です。

 

なんてことでトイレ掃除に限らず社内の単純作業や仕事を外部業者に委託しているところはあるのでは?

 

これって一見正しそうに聞こえますが、果たしてそうでしょうか?

 

もし、トイレ掃除をしている社員がいつも残業や休出をしている状況だったのが、トイレ掃除の負担がなくなった結果、残業や休出がなくなればOKです。

 

なぜなら、トイレ掃除を外部に委託することで業者への支払いが増えますが、残業が減る休出が減る、で社員に払う人件費が減るからです。

 

しかし、残業や休出もなくいつも定時に帰ることができる工場の場合、トイレ掃除をやらなくてよくなった時間はどこにいってしまうでしょうか?

 

多くの工場は、トイレ掃除が無くなったため浮いた時間はどこかにいってしまい(余裕が出来た分ゆっくり仕事をやる・・・・)

社内で発生するコストは何も変わらず、外注業者への支払いだけが増えるなんてことが起こり得ます。

 

今いる社員で仕事が回っているのであれば、単金が安いから外に仕事を出すのはNGです。

 

受注が増えて、今いる社員で仕事が回らなくなったら、まずはカイゼンで生産性を上げて今ある社員でやりきれるようにする。

 

それでもNGのときに初めて外部業者へ仕事を委託することを考える。

 

単金が安いところ、より安いところへ仕事を移していくと、結果的に損しているかもしれません。

 

社長の会社は、安ければ社外へ社外へ、になっていませんか?