第91話:ごっこになっていませんか
「ワカイさん、『かんばん』ってやってみると意外に面倒なんですね」
かんばん方式は
製品が売れれば、製品に貼ってあるかんばんを外して、そのかんばんを元に売れた分を作る
部品を使えば、部品に貼ってあるかんばんを外して、そのかんばんを元に使った分を買う
かんばんの運用は至ってシンプルなハズです。
それが面倒とはどんなことなのでしょうか?
通常、かんばんは製品や部品を持つべき在庫数を決めれば、必要なかんばん枚数も決まり、あとは現場に運用を任せるだけです。
かんばん枚数は生産管理部門で決めます。
それが、冒頭のお客さんでは外れたかんばんを元に、そのまま作ったり、買ったりすることができなく、
必ず生産管理部門がどれだけ作るか、どれだけ買うかを判断しなければならないということだったのです。
これではかんばんの魅力は半減です
かんばんは、売れた分だけ作り、使った分だけ買う、必要なときに必要なものを必要なだけ作ったり買ったりする、ジャスト・イン・タイムを実現する上での有効なツールです
また、それを実現する際に生産管理部門が手間を掛けずに現場で自律的にかんばんが運用されることで、間接工数が削減されるのです
ところが、冒頭のお客さんでは材料購入量がバラツキ、いつも一定の単位で生産指示ができずに生産管理部門の判断が必要になっていたのです
当初はその問題が見えずにかんばんを始めたのですが、材料購入量にバラツキがあることが発覚したあとは生産管理部門が何とか頑張って運用していたのです
果たしてこのままでいいのでしょうか?
折角かんばんが運用できているからいいじゃないか
という意見も聞こえてきますが、下手をするとかんばんごっこになってしまいます。
大きく二つの方向性があります
一つは材料購入量のバラツキが無くなるように、仕入先と交渉する。もちろん、こちらに問題があればそれを解決する
または、購入量にバラツキがあってもシンプルなかんばん運用になるように再度検討する
もう一つは、あえてかんばんを用いずに別な方法での運用を考える。場合によっては情報システムを活用した指示にする
決して誰かが犠牲になってかんばん運用をなんとか維持すべきではありません
社長の会社でも、ごっこになっているものはありませんか?