第20話:捨てることを前提につくっていませんか

スーパーで豆腐を買う時、購入する豆腐をどうやって決めていますか?

 

まずは、どんな料理に使うかで、もめん豆腐、きぬごし豆腐、焼豆腐など、種類が決まります。

そして決まったブランドがあればそれを選択するけど、これといったブランドがなければ値段や表記されている内容などで、一つに決めます。

そして最後に、その豆腐の賞味期限が一番新しいものを選んでいるのでないでしょうか。

 

ところが、沖縄ではさらにもう一つ、購入する豆腐を決める判断材料があるのです。

それはいったい何なのでしょうか?

 

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沖縄では、それに加えて同じ賞味期限の日付なら、一番暖かい豆腐を選ぶのだそうです。

それもあって豆腐はメーカーは一日に数回スーパーに配送

そして前回配送して残った豆腐は持ち帰る

 

そう、沖縄では豆腐は本と同じ委託販売なのです

 

持ち帰った豆腐は惣菜にするとか二次加工するのかと思いきや

リユースはするけど家畜用の飼料にするとのこと

あまりにも厳しい商売です

日々の生産量と需要のギャップが大きいと、瞬時に過剰在庫になって大きなロスになってしまうので、日々どれだけ生産するかあらゆる情報をもとに決断しているのでしょう。

沖縄の豆腐までは行かなくても、食品業の日々の生産量決定はかなりシビアではないでしょうか。

 

それに比べると、工業製品の生産量決定はついつい甘くなりがちです。

工業製品は瞬時に賞味期限切れになることもなく、数ヵ月は売れます。

そうなると日々の需要を踏まえて生産するより、効率を考えてまとめてつくることが重視されます。その結果、ついつい在庫を持ってしまい、行き過ぎると過剰な在庫になってしまいます。

それが定常化してくると、次のようなことにもなります。

 

あるとき、とある工場の製品倉庫の一角にうず高く積まれた段ボールが目に付きました。「これは今日出荷する製品ですか?」

「いや今月廃棄する分です」

「せっかく作ったのにもったいないですね。利益をかなり圧迫するんじゃないですか?」

「毎月結構な金額になるので、予め予算化しているので大丈夫です」

 

淡々と話す工場長の話を聞いてびっくりしてしまいました。その金額がかなりの金額であったこともあります。

期の初めに毎月廃棄する分を予算化しておくというのは、まるで捨てることを前提につくっていると受け取れます。

本当は売れないものは作りたくないが、生産と需要のギャップで不良在庫が発生するのをゼロにするのは不可能です。

 

そんなときは、やむにやまれず廃棄費用を計上して捨てるしかありません。

 

しかし、予め予算化して捨てることが定常化してくると、ムダにつくることは極力なくそう、そのためにはどうしたらいいかという思考が停止してしまいます。

さらに在庫で余るのは当たり前、余った在庫を費用計上して捨てるのは当たり前、という意識になってしまいます。

まるで、捨てることを前提につくっていないかと思ってしまいます。

 

沖縄の豆腐メーカーでそんな甘い考えで経営していたら、あっという間に返品が増加し、キャッシュフローも回らなくなってしまうでしょう。

 

豆腐でなくても毎日の売れに敏感になり、日々の生産量をいくつにするか、過剰に在庫を持たないようにすることに意識を持つ必要があります。

 

決して、捨てることを前提につくる考えに蝕まれないようにしなければなりません。