第27話:自社のものづくりを知る

カイゼンを始めるとき、まずは設計図を描くことをお勧めしています。

 

日々のカイゼンが経営につなげるためには、全社一丸になって一つの方向に向かってカイゼンすべきです。

 

全社一丸になって向かう姿を描いたのが設計図です。

 

設計図を描くためには、まず自社のものづくりがどうなっているかを知ることが大事です。

 

自社のものづくりのまずさ加減を知り、これでは駄目だと思う時、いまより良くなりたいという想いを持って設計図を描きます。

 

いまよりどのように良くなるか、その姿を描くのは簡単ではありませんが

 

それ以上にいまのまずさ加減がどうなっているかを知ることの方が実は難しいかもしれません。

 

人は自分を正しく認識することは苦手です。

 

からだの調子が悪くても、きっと大したことはないだろうとついつい甘い判断をして、どうにもならなくなってから病院にいくと

 

「なぜ、もっと早く病院に来なかったのですか」

 

と言われた方もいるのではないでしょうか?

 

自社のものづくりも同じです。

 

うまくやっていないと思っていても、そんなにひどくない、この程度のひどさだろうという自己評価をしがちです。

 

では、どうやって自社のものづくりの実態を知るか。

 

体調を崩したとき病院にいくと、専門医の指示のもと、血液検査を始めいろいろな検査で具体的に体を調べることで、からだの状況を調べます。

 

ものづくりも、感覚的な判断でなく、具体的な数値で調べることです。

 

どんな数値で調べるか

 

会社の通知表である財務諸表ではものづくりは製造コストで表されます。製造コストは金額で表され評価しやすいのですが、現場のものづくりの実力を評価するにはあまりふさわしくありません。

 

数字だけを追ってしまうと誤った判断をしてしまいます。

 

ものづくりでは、仕入先から納品された材料や部品が工場で加工や組み立てを経て製品になって、顧客に供給されます。

 

そこで、材料や部品が投入されて製品ができあがるまでの、ものの流れを現地現物で追ってみることです。

 

仕入先から納品された材料はどこで受け入れられて、どこにどのような手段で運搬されるか。そして運搬された先ではどのくらいの期間滞留しているか。・・・・と製品になって顧客に出荷されるまでを事実を追いかけるのです。

 

材料は工場内をどのくらいの距離を移動していくのか、材料や仕掛品は工場内をどのくらいの期間滞留しているか、・・・・とありのままを調べていくと間違いなく驚愕の事実が浮かびあがっていきます。

 

この、ものの流れを現地現物で追いかけるのも手間がかかり、面倒な作業ですが、現実を知るにはこれ以上の方法はありません。

 

まずは、ものづくりの現場に足を運んで、工場の入口から出口までものの流れを追ってみませんか?