第51話:効率から流れへ

工場や倉庫の現場での評価尺度といえば効率

 

効率は、求める成果物がどれだけの労力でできるか

 

より少ない労力で、より多くの成果が得られることが求められます。

 

工場であれば、より少ない従業員でより多くの製品が生産できることです。

 

工場では、切断工程、曲げ工程、溶接工程、塗装工程、サブ組立工程、組立工程、検査工程など、と多くの工程を経て作られます。

 

そこで工場全体の効率アップを目指して、職場毎に効率アップを求めます。

 

個々がベストをつくせば、全体がベストになるという考えです。

 

果たして、そううまくいくのでしょうか?

 

 

答えはノーです。

 

むかし昔、1960年代、1970年代の少品種大量生産の頃は、この考えでよかったでしょう。

 

しかし、いまの多品種少量生産の時代、職場毎の効率重視の考えは、会社全体の効率アップにはなりません。

 

また、逆にさまざまな弊害を生み出します。

 

たとえば、今日A10個、B10個、C10個、D10個、E10個注文があったとしましょう。

 

工場は毎日注文を受けたものをその日に作ればいいのですが、効率を考えると別なことを考え出します。

 

毎日AからEまでだいたい10個注文が来るとなると

 

月曜日はAを50個

火曜日はBを50個

水曜日はCを50個

木曜日はDを50個

金曜日はEを50個

 

と、今日売れた以上まとめて作って、残った分は在庫しておこうと考え、実行します。

 

まとめて作れば段取り替えの回数が少なくなって効率アップするからです。

 

たしかに各職場の効率はアップします。

 

しかし、今日A50個作っているなかでEの注文10個が来たのですが、たまたまEの在庫が無かったら金曜日まで待ってもらうことになります。

 

これでは、個々の職場の効率が良くても、工場全体として今お客さんから求められている製品が供給できなくなってしまいます。

 

また、欠品を避けるために多めに在庫持っていたのに関わらず、売れがストップして不良在庫になってしまった目も当てられません。

 

わたしも、効率は大事だと思いますが、効率よりも毎日のお客さんの注文に応える方が大事です。

 

お客さんの注文に向かって毎日売れたものをつくる

 

それをわたしは「お客さんの売れに向かって流れるようにつくる」と表現します。

 

効率よりも流れ

 

流れを良くしようとすると、個々の職場の効率は若干悪くなりますが、

 

それをカイゼンすることで効率を上げて行きます

 

「流れるようにつくる」

 

ぜひ社長の頭の片隅の引き出しにその考えを入れておいてください。