第100話:5Sの限界
「若井さん、うちの工場は頑張って5Sをここ数年ずっと維持しています」
あらためて5Sというと
整理(Seiri) 必要なものと不要なものを分けて、不要なものを捨てる
整頓(Seiton) 必要なものをすぐに取り出せるようにする
清掃(Seisou) 仕事がやりやすいようにきれいにする
清潔(Seiketsu) 整理、整頓、清掃の良い状態を維持する
躾(Situke) ルールや決めたことを守る
です。「5Sをずっと維持しているとは素晴らしい、いったいどうやって維持しているんですか?」とお聞きすると
「うちの工場の現場は、しばらくするとものがあふれてしまうので定期的に整理、整頓をして、清潔な状態を維持しているんです」という答えでした。
よくよく話を聞くと、
単価の安い部品を大量に買って余ってしまった
営業の見込みを元に作ったけど売れ残ってしまった
そんなこんなで、定期的に整理をして不要なものを捨てているというのです。
1年に一回、お金を出して買ったものを余ったと言って捨てる、社員が作ったものを捨てる。
年に一回、お金をドブに捨てているようなものです。
この会社は、毎年順調に成長し利益も確実に出しているので大きな問題にはなっていませんが、だから良いって話ではありません。
世の中の需要が変って売上ダウンしたときには目も当てられません。
こういう話は、あまり儲かっていない会社でも起きています。
ちなみに、清潔は「整理、整頓、清掃の良い状態を維持する」ということで、整理、整頓を定期的に繰り返すことが清潔ではありません。
じゃあ、どうやって「整理、整頓、清掃の良い状態を維持する」を実現するのか?
それは、ものの買い方、ものの作り方を今までと変えて不要なものを極力生みださないようなしくみをつくらなければならないのです。
社長の会社の5Sは、ひょっとして、整理、整頓を繰り返していませんか?