第13話:カイゼンに設計図は必要ないか?
先日、セミナーに参加されたお客さんのところへスポットコンサルに伺うと、
「組立ラインは●●したいのですがどう思われますか?」
「部品倉庫は▲▲したいのですがどう思われますか?」
「調達リードタイムを短くするために仕入先に■■を提案しようと思うのですが、どう思われますか?」
いま、カイゼンしていこうと考えていることなどをいろいろと質問され、お答えしました。
もし、答えたままカイゼンをしたらどうなるか?
うまくいくかもしれませんし、うまくいかないかもしれません。
もし、わが家をリフォームしようとしたとき、
父親「書斎の壁紙は落ち着いた感じの茶系統にしてくれ」
母親「台所の壁紙は明るい感じのイメージがいい、黄色系統にして」
子ども「勉強部屋の壁紙はブルー系統がいい」
家族それぞれが好き勝手希望を言って、そのまま色を決めてしまったらどうなるだろうでしょう?
あまりいい考えではないですね。
家のリフォームをするのであれば、どんな間取りにして、どんな壁紙にするか家全体で考えて、設計図を描くでしょう。
ところが、カイゼンになると全体の絵を描くことなく、個々のカイゼンを始めてしまうのが多いのではないでしょうか?
先ほどの、組立ライン、部品倉庫、仕入先に関するお客さんの質問には個々に適した回答をしましたが、そのお客さんの工場全体としては別です。
どこから手を付けるべきか、お互いの関連性はないか、など、全体の設計図は必要です。
「頭で考える前に行動を!」というコンサルタントもいます。あれこれ考えて行動に動かせないのであれば、それも一理ありますが、それがベストではありません。
カイゼンで、一番取り組み易いのは5S
整理・整頓・清掃・清潔・躾
赤札作戦で不要なものを廃棄して、必要なものをすぐに取り出せるように整頓
とそこまでは手を付けるのですが、
設計図がないと、そこから先は行き当たりばったり
それではなかなか経営につながる成果は期待できません。
カイゼンも家を建てる、リフォームするように、工場のものづくりをどのようにしたいか、その設計図があった方が間違いなくいいです。
これからカイゼン活動を始める、またはカイゼンを続けてきたが踊り場でカイゼン活動やその成果が停滞気味のところは、ぜひ設計図づくりから始めることをお勧めします。