第52話:家庭に置き換えると
優秀な購買担当者を雇うなら、家庭の主婦から探すのがいいかもしれません
「お父さん、いつも1ケース24本入り5,000円で売っているビールが、
10ケースまとめて買うと半額の2,500円だったので、思い切って買ったわ」
なんて奥さんはまずいないだろう。
もし、社長の奥さんがそんな買い物をしたら、褒めますか?
ビールの鮮度を謳っているメーカーもあるくらいだ
半額なんていったら、きっと賞味期限切れでしょう
缶の底の年月日を見ると賞味期限まであと1ヶ月
(ビールの賞味期限は約9か月)
毎日1本ずつ飲んでいったら賞味期限までに飲めるのは約30本
240 - 30 = 210本
210本は賞味期限切れで、どんどん風味が落ちていって、炭酸が抜けていき酸味と雑味が増えてしまう。
いつも1本なのを無理して2本飲んでも180本はムダになってしまう
そして最後は料理に使うか、捨てるか・・・・
5,000円で済む買い物が、25,000円の出費です
もし、奥さんがそんな買い物をしたら、あなたは間違いなく怒るでしょう
逆に社長がそんな買い物をしたら、間違いなく奥さんに叱られるでしょう
ところが、家庭の出来事であれば誰でも理解できることが、会社だと途端に変なことをやり出します
経営学や経理に詳しい人が、より単価の安いものを買うべきだと言ってきます
単価が安くなると言われて、いつもの数倍買う
海外から買った方が安いと、いつもの10倍以上買う
昔の少品種大量生産の頃ならまだしも、今は多品種少量生産の時代です
大量買いのビールと同じように倉庫や現場には使われない購入品が山と積まれ、
作業者の邪魔になったり、余計な運搬を引き起こします
そして最後は捨てられてしまい、会社の運転資金の無駄遣いになってしまいます
安く大量に買うのもいいけど、大量に買ったものはいったいどれくらいの期間で使い切るかの感覚を持って買うべきです
その点は、家庭の主婦の感覚の方が優れています
まさか、数週間、数ヵ月にも渡る消費量のものは買いません
もし、自社の購入品がいつも大量に余ってしまう会社は、
優れた主婦を採用した方がいいかもしれません
会社でやっている怪しいことは、家庭に置き換えてみると、なにが正しいか見えてきます
なんか変だなと思ったら、自分の家庭に置き換えてみましょう