第61話:財産を食い尽くしていませんか
創業社長が苦労して立ち上げ、二代目社長が大きくした会社
自社ビルも建てたし、資産や財産もしっかり蓄えられた
しかし、三代目社長が放漫経営で資産や財産を食い尽くして
ついに倒産
なんて会社もあるでしょう
ところで、内容はちょっと違いますが
いま多くの工場で財産を食い尽くしている、そんな気がします
戦後、メイドインジャパンは安いけど品質は今一つと言われていたのを
設計や技術、そして生産現場の人たち、全員の努力で少しずつ品質を上げ、コストもさらに下げていきました
そして遂にはメイドインジャパンと言えば、世界から安くて高品質の製品と評価さえるようになりました
しかし、いま工場の現場に足を運ぶと、そんな状態がいつまで続くかと心配になることがあります
昔は自社で素材から部品をつくり、組み立てまでおこなっていたものが
加工は協力会社にお任せで部品は外から買うのが当たり前になり
なかには組み立てまでも協力会社に出して、自社は検査するだけ
そして自社でつくっていてはいるが、実際作業をしているのはパートや派遣社員、請負会社と外部の安いコストに依存
より安くするために、自社の社員がものづくりのプロセスからどんどん離れていっている会社が多く見受けられます
外に仕事を出せば、協力会社などに見積もりをチェックしたり、品質チェック、技術指導しなければなりません
いまは、昔自らものづくりのプロセスに携わっていた年配の社員がその役目を担っています。
しかし、いずれはそんなベテラン社員も退職してしまい、残されたのは自ら経験をしたことがない、または経験の浅い社員だけになったらどうでしょう?
そのとき、品質が高くて、コストも安く、納期をきっちり守れるものづくりができるでしょうか
いま、これまで培ってきたものづくりの財産を食い尽くしているとしか思えません
安さを追求するのもいいですが、ものづくり企業であれば、社員みずからものづくりにもっともっと関わるべきだと強く感じます
社長の会社は、汗を流す仕事を外部の安いコストのところに投げていませんか?